4342声 14)熱中

2020年03月14日

40歳。独身で子どもがいないから、ということが寂しくもあり自由でもある。預金は少ないが、保険には入っているから自分に何かあっても母や同居する姉はそれなりに生きていけるだろう。8年前くらいに胸の痛みで父親が通っていた循環器病院へ行ったら「動脈にゴミがたまっている。10年早く狭心症になるよ」と言われた。父もその病で手術をしていた。あっというまに、年をとってしまった。

 

40歳。というのは節目な気もして、コロナが騒がれる前から、自分でも大げさだと思いつつ「どう生きるか」を考えていた。結婚も諦めてはいないが(笑)、「この先に残るものを残したい」という気持ちがある。自分にとってそれは、まず映像であり、次いで文章だろうか。

 

熱中している人が好きだ。その人の預金や有名無名は関係がない。なぜ熱中している人が好きかと言えば、僕自身が色々やっている風に見えて実は熱中ができないということを自覚しているからなのかもしれない。「どう生きるか」を考える時に、懸命に生きている人一人一人を見ることで、その人が見ている世界を見ることで、得られない何かを得られるのではないか、という漠然とした確信がある。それを映像に撮りたい。そして実はすでに数人、撮りたいと思っている人がいる。

 

それはもしかしたら「熱中している人」というくくり方ではないのかもしれない。言葉を変えれば「そうにしか生きられなくなった人」に僕は惹かれるのかもしれない。そういう仕分けで分けるなら、僕も「そうにしか生きられなくなった人」の一人である。