4468声 七尾旅人

2020年07月18日

コロナ禍において窮地に立たされている最ものひとつはライブハウスだ。クラスター発生でニュースをはじめに騒がせたということもあるが、3密を避けてのライブハウス運用は非常に難しいものがあると思う。そんな中で、シンガーソングライターの七尾旅人さんが「LIFE HOUSE」という名前の配信を、youtubeで行っている。すでに12回、時に国内外のミュージシャン仲間だったり、写真家だったり、障害をもった若い歌い手だったり、ライブハウスのPAだったりと共にZOOMを使って1〜2時間、現状をふまえての話や、ライブセッションを繰り広げる。これが非常に面白い。

 

一般的には「Rollin’ Rollin’」や「サーカスナイト」といった雰囲気のある曲を作り歌う七尾さんだが、戦死自衛官を歌った「兵士A」など社会的な歌もあり、ツイッターでも歌い手としてのスタンスは崩さずに政治的と言われる発言をしている。「それで離れるファンがいるなら、それはそれでいいさ」というスタンスでもある。

 

ここに何度も書いている寺尾紗穂さんもそうだが、社会的な問題や葛藤をふまえて歌を作れる人の歌は、強い。流行り廃りや単なる格好良さ、現実逃避を超えた厚みを持っている。そして総じて、表面的ではない優しさを兼ね揃えている。「LIFE HOUSE」は、僕が今まで見てきた音楽番組(にこれも含まれるのであれば)の中で、一番面白い。