1022声 平成の居残り男

2010年10月18日

今日、運転中に思わず、珈琲を吹き出してしまった。
原因はラジオニュース。
そのあらすじはこう、である。

その舞台は、兵庫県は尼崎市に在る、24時間営業のスーパー銭湯。
そこに居残っていた男が、今日、兵庫県警尼崎東署に逮捕されたのである。
なんと、宿泊料金などを清算しないまま、およそ2ヵ月間も寝泊まりしていたとの事。
その期間は54日間。
代金はしめて、15万8千円。
奴さん曰く、「お金がなく、行くところもなかった」。

このスーパー銭湯は、チェックアウト時に宿泊料金等を清算する仕組み。
奴さん、一度もチェックアウトしなかったので、居残りに成功したのだ。
群馬県の日帰り温泉施設にも良くある様な、
バングルの番号で管理しているシステムではなかろうか。
このスーパー銭湯は、基本的には年中無休なのだが、
半年に1度の定期点検を実施している。
それが逮捕となった日で、前日に利用客全てに退店を促す放送を入れた事を機に、
自首したというのが、事の顛末である。

このスーパー銭湯の従業員の方々も、
「この人毎日来てるなぁ」
などと、思っていたのだろうか。
奴さん、食事は自動販売機のカップ麺を食べていたってくらいだから、
店員の目を憚って暮らしていたのだろう。
それにしても、被害に遭ったスーパー銭湯には申し訳ないが、滑稽な事件である。

このニュースを聞いて、直ぐに結び付いたのが、古典落語の「居残り佐平次」。
佐平次の場合は、品川の遊郭に堂々と居残って、毎晩客の座敷に上がり込み、
客から指名が来るほどの働きっぷりを見せて、勘定をチャラにしてしまう。
報道を見るに、奴さんはどうやら違う様子である。
おとなしく自首するくらいだから、根は真面目な人なのだろう。
「詐欺」なのだろうが、この手の施設の多発している「窃盗」の類よりも、
よっぽど邪念が少なく思える。

【天候】
終日、雲が多くも秋晴れの一日。
朝晩、そぞろ寒く感じるようになってきた。