小学生の頃、ふと夜中に目が覚め、あートイレトイレと台所を通ると流し脇にボウルが置いてある。暗い台所、覗き込むと、水が張られたボウルにはあさりが多数。貝を開き、ぬおーっと目を伸ばし、ピューっと水を吹いているやつもいる。その頃の僕はその見た目もあのくにゃっとした食感も好きではなかったから「あー明日の朝はあさりの味噌汁か、大根と油揚げとかの方がいいのにな」と思っていた。
この前、閉店間際のスーパーに駆け込むと諸々が半額。あさりも、粒は小さいようだが半額のものが多数残っていた。今はもうあさりも普通に好きだし、これはあさりの救済であると独り言を呟いて2パック購入した。その夜、ボウルに塩水を作って、洗ったあさりを放ち、翌朝は検索して出てきた作り方そのままに、強火ではなく弱火〜中火でじっくり旨味を出す、口が開いたら加熱は終わり、あさりの塩があるので味噌は少なめに、を守ってあさりの味噌汁を作った。
それはそれなりに美味しかったが、今になって思うと魚屋であった亡き親父が作ったあさりの味噌汁はものすごく出汁が出ていた気がする。それが単に使うあさりの新鮮さだったのか、火を入れるコツがもっとあるのか、酒でも少量入れていたのか、そのあたりはわからないのだが・・・まあそういうものなんだろうなと思っている。