5243声 草花を愛でる

2022年09月16日

人はなぜ年をとると草花を愛でるようになるのか。永遠の謎である。とある日本画家は「年老いて花鳥風月を描くようになったら終わりだ」と言った。なるほどと思う。若い時は自分や他人に目がいく。その頃から、自然豊かな地域に暮らしていた、人間が嫌いだった、親の影響等で草花を愛でる若者もいるとは思う。ただ僕は、僕の父親こそ山野草を愛しうちの庭も草花がいろいろあるが、まったく関心をもたずに今に至った。

 

「人間だけじゃないんだな」

 

ある程度年をとると、そう思う日が来る。それは、心の余裕ができてきたのかもしれないし、人とだけ付き合うことに疲れたのかもしれない。人によっては、子どもが成人を迎え家を出ていき、子育ての終わりを迎えた頃のことかもしれない。ふと目を落とすと、そこにけなげに草花がある。

 

多少は手がかかった方が良い。AIが入っていれば違うが、静物は反応を返さない。そこで犬や猫に向かうかもしれないが、水やりや日照程度を気にすれば良くて、それなりの愛情を注げばそれなりに元気な様子を見せてくれる草花に、人は関心を持つようになる。あとはある程度その関心を続ければ、やがて関心は愛に変わる。

 

・・そんな単純な話でもないと思うが、事務所開きでいくつかの鑑賞植物をいただき、実家に持ち帰るよりはここに置きたいなと、学生時に一人暮らしでほぼ枯れないであろう鉢植えを枯らして以来に、水やりをしている。今日は風がなく秋の日がよく射していたので事務所の玄関先に植物らを並べて水やりをした。それなりに、かわいい。