5517声 チャイムが鳴った②

2023年07月17日

事務所で仕事をしていたら、チャイムが鳴った。

今日も外は灼熱と言って良いかんかん照りだった。もあっとした暑さの中立っていたのは、見知らぬ若い女性だった。

「スイーツを販売しているんですが、いかがですか?」

瞬時に、「町のほうから来て、割りと高めなスイーツを売り歩く商法だ」と理解する。この事務所は初めてだが以前も何回か訪問されたことがある。

「以前買ったことあるんですが、そういうのはいりません。暑い中大変ですね・・」

と返事をすると、即諦めたように女性はくるっと背を向けた。暑い中・・という声が届く前に背を向けたし、そもそも「買います」以外の同情などは不要なのだろう。

最初にそのような訪問販売を受けた時に、こんな商売成り立つの?と思い検索したら、所謂あまり良くない仕事として幾つか出てきた。販売するものは粉ものばかりなので、町のほうの工場などで大量に作るのだと思う。それをわざわざ田舎に持っていき、若い子が売る(若い子に売らせる)。当然、「(味のうまいまずいは不明、価格が高いであっても)わざわざこんな所まで売りに来て可哀そうね、買ってあげるわ」という(特に)年配の方は多い。儲かるのかもしれない。そして売る若い人たちも、そのような商売であることは自覚しながら、知らぬ家にピンポンするストレスも抱えながら、この灼熱の中を売り歩いているのだろう。

なんとなく、世の中は甘くないな、と思った。