1060声 切れ字の向こう側

2010年11月25日

車を停めて、菓子パンを齧っていると、窓の外。
枯田の畝に沿って、ちょこちょこと歩いて行く、野鳥が一羽。

瞬間。
俳句の題材になりそうな景色だったので、ペンを取って、
写生句を作ろうとしたのだが、ペンは依然として走らず。
どうしたのかと言うと、分からない。
あの、小さくて愛らしい。
ちょこちょこと歩いて行く、鳥の名前が、である。

思えば、野鳥や野に咲く花の名前などに、
ほとんど、意識が向いていない人生を歩んできた。
と、実感した。
そして、森羅万象を俳句として捉えるには、
今少し、花鳥風月に目を向けるべきだ。
とも、実感した。

おそらく、千鳥。
だと思うし、また、千鳥は冬の季語なので、句作上、
千鳥として解釈すべきなのだろう。
しかし問題は、この風景に対して私の感受性が捉えた意。
二葉亭四迷の「小説総論」で言う所の、

「浮世の形のみを写して其意を写さざるものは下手の作なり。
写して意形を全備するものは上手の作なり。
意形を全備して活たる如きものは名人の作なり。」

と言う事になろう。
俳句の場合、その意を、切れ字の向こう側にどう表現できるか。
とは、偉そうに述べているものの、一向に上手の作が出来ない。
気がついたら、お腹が一杯。
結局、3個買った内2個しか、菓子パンが食べられなかった。
こちらの方も、上手い具合に行かない。

【天候】
朝は晴れているが、次第に雲が出て、以降、薄曇り。