「ガラガラガラガラッ」
あちこちで鎧戸を下ろす音が響く、黄昏時の商店街。
足早に露地を行く、人たち。
ポケットに手を入れながら、すれ違う、私。
寿司屋の斜向かいにある銭湯の前まで来て、立ち止まる。
ポケットから手拭いを出し、出した手で、暖簾をくぐる。
ここは埼玉県である。
埼玉県と言っても、群馬県に隣接する本庄市。
その市街地にある、「本庄銀座」の中に、
市内でただ一軒残る銭湯、「藤の湯」がある。
そこに今日、入って来た。
ビル型の近代的な銭湯で、とても心地好い湯だった。
滞在した時間では、男湯よりも、むしろ女湯に活況があったようである。
毎日通う事を想定したら、私は、簡素だが清潔感のある、
こう言う近代的な銭湯を選ぶ。
意外な発見だったのが、「本庄銀座」。
場末の寂れた商店街なのだが、
裏通りには、味のある飲み屋などが点在しており、
とても興味を引かれた。
湯冷めを恐れて車で行ってしまった事を、一寸、悔んだ。
【天候】
終日、雲も疎らな冬晴れの一日