1067声 小脇の桶

2010年12月02日

市街地の伝統的な銭湯が廃れ、
郊外の近代的なスーパー銭湯が栄えている。
その理由の一つには、世間でのモータリゼーションが挙げられる。
群馬などは特に車社会が顕著なので、
大型駐車場の有無が、商売を大きく左右する。

この点において、伝統的な銭湯は弱い。
しかし、それは路地裏に在ると言う立地面から見て仕様が無いし、
それがひとつの味ともなっている。

東京の下町などでは、伝統的な銭湯が商店街の花形として健在である。
夕暮時になると、洗面器を小脇に抱え、
暖簾をくぐって行く人たちが沢山いる。

「常連さんは自分の桶を持っている」

と言うのが、私が東京の銭湯へ通い始めて、受けた衝撃であった。
次の日から私も、「通」ぶって、自分の桶に石鹸を入れ、
所謂、「神田川スタイル」で銭湯へ行った。

今では、遠方の銭湯へ出掛ける事が多いので、
自分の桶の出番は無くなってしまった。
今でも、銭湯に限らず、町の浴場施設へ行って、
桶を小脇に抱えた人を見かけると、ここの中で思う。
「おぬし、なかなか、できるな」、と。

【天候】
午前中は晴れ。
午後から下り坂となり、夕方から小雨。