1121声 落語の写生

2011年01月25日

昔の人である。
群馬県佐波郡境町てぇから、現在の伊勢崎市。
落語家、5代目古今亭今輔の出身地が、である。

先日、知人の方が、5代目古今亭今輔の落語CDを借してくれた。
きっかけは、私が上州弁の落語があったら、面白い。
と、書いた事にある。
「じゃあ」
ってんで、それにうってつけの落語が、この5代目古今亭今輔であった。
今回の5代目今輔の聴き所は、主人公が同じ上州出身と言う事で、
十八番としていた、「塩原多助一代記」にある。

「塩原多助一代記戸田の屋敷」。
その枕で、「私が今晩申し上げる上州弁は、100年前の上州弁でございます」
と言っているとおり、
「~べぇ」、「~だんべ」や、「ぶっちゃちゃう」。
など、その噺の中に、生粋の上州弁が散りばめてある。
上州人が聴けば、直ぐに分かる。
そして、「~がんす」、「~なんしょ」や、「~やんすから」。
など、現代の上州では、あまり聞かれなくなった方言も、多数登場する。

「言葉」
と言うのは、その人物のディティールを表現する上で、とても大切だと感じた。
上州弁によって、沼田城下から出て来た多助、「土臭さ」が、よく写生されていた。
「江戸の炭屋の下男」としての、生き様、つまり、その「生」を感じたのである。

いろいろな師匠方の「多助」を聴いたが、上州弁の多助に、
特に深い感慨を覚えた。
5代目古今亭今輔は元より、土着言葉の強い落語にも、
興味が湧いてきた。
ちと、これから、志ん生の多助と聴き比べてみるつもりである。

【天候】
午前中、雲多く、風強し。
午後、穏やかな、晴れ。