スタッドレスタイヤにチェーンを巻いたマイクロバスは、
咳き込む様なエンジン音をたてながら、榛名湖畔を走って行く。
榛名神社へと続く、峠道。
雪深い路面。
辺り一面の雑木林は、ことごとく雪に覆われている。
悲惨だった。
昨日、榛名湖俳句合宿からの帰路で見た光景が、である。
雪道を下って行くバスの前方に、まず、赤色ランプが見えた。
バスが近づいて行くと、おそらくスリップしたのだろう。
路肩の側溝に突っ込んでいる、軽自動車が1台。
パトカーの脇に、警官2人。
過ぎると直ぐに、路肩に動けなくなっている乗用車が1台。
運転手の若い男性は、一心不乱で携帯電話に話しかけている。
次に、正面衝突している、車が2台、路肩に寄せてある。
そして、路肩の浅い小川へ、横転している1台のワンボックス車。
最後のその光景を見た時に、バスの一同、声を失った。
雪道は、本当に危険である。
改めて、痛感した。
身に降りかかるであろう災難が、潜んでいる。
その雪の、直ぐ隣に。
途中でチェーンを外し、私たちのバスは、無事、高崎駅へと到着した。
私以外の皆さんは、東京へと帰られた。
一番遠くは四国から。
皆を見送ってから、私ひとり、高崎の街へと歩を進める。
二日しか、一緒には居なかったが、何か、
心にぽっかりと、風穴が空いてしまった感覚。
立ち止まって、句帳を開こうとして、止めた。
そして、また、一歩二歩。
【天候】
朝は雲多くも、午後には快晴。
やや風強く、寒い一日。