1140声 風穴に雪

2011年02月13日

スタッドレスタイヤにチェーンを巻いたマイクロバスは、
咳き込む様なエンジン音をたてながら、榛名湖畔を走って行く。
榛名神社へと続く、峠道。
雪深い路面。
辺り一面の雑木林は、ことごとく雪に覆われている。

悲惨だった。
昨日、榛名湖俳句合宿からの帰路で見た光景が、である。
雪道を下って行くバスの前方に、まず、赤色ランプが見えた。
バスが近づいて行くと、おそらくスリップしたのだろう。
路肩の側溝に突っ込んでいる、軽自動車が1台。
パトカーの脇に、警官2人。
過ぎると直ぐに、路肩に動けなくなっている乗用車が1台。
運転手の若い男性は、一心不乱で携帯電話に話しかけている。
次に、正面衝突している、車が2台、路肩に寄せてある。
そして、路肩の浅い小川へ、横転している1台のワンボックス車。
最後のその光景を見た時に、バスの一同、声を失った。

雪道は、本当に危険である。
改めて、痛感した。
身に降りかかるであろう災難が、潜んでいる。
その雪の、直ぐ隣に。

途中でチェーンを外し、私たちのバスは、無事、高崎駅へと到着した。
私以外の皆さんは、東京へと帰られた。
一番遠くは四国から。
皆を見送ってから、私ひとり、高崎の街へと歩を進める。
二日しか、一緒には居なかったが、何か、
心にぽっかりと、風穴が空いてしまった感覚。
立ち止まって、句帳を開こうとして、止めた。
そして、また、一歩二歩。

【天候】
朝は雲多くも、午後には快晴。
やや風強く、寒い一日。