今週末で、榛名湖の公魚釣りもシーズンオフ。
と言う話題が、昨日の雑談の中で出た。
今年は3年ぶりに結氷したので、公魚の釣客も、
久しぶりの穴釣りを存分に楽しんだ事だろう。
公魚が終われば、次に、3月上旬の渓流釣り解禁を、
待つばかりであろう。
私は久しく釣りをしなくなってしまったが、以前はしていた。
今から一昔前、渓流釣り解禁の時期に、釣りへ出掛けた事があった。
場所は、当時の倉渕村。
渓流釣りなので、狙うのは、山女、岩魚、虹鱒などの渓流魚である。
快晴の空が薄く橙色に染まってゆく、夕まづめ。
手頃な岩の上から、川面に向かって竿を振る。
糸の先についているのは毛針、すなわち、テンカラ釣りと言う釣法である。
魚の当たりは断続的にあるものの、自らの腕も相まって、
中々、釣り上げられない。
徐々に、山間から黄昏が近づいてくる気配。
ふと、辺りを見渡して、手を止めた。
沢一面に、ひとつひとつの光が、群れをなして浮遊している。
私もどうやら、その光の群れに、包まれている。
のだが、どうした事だろう、衣服には、無数の羽虫が次々に付着。
そうなのである、この羽虫は、かげろう。
いま、まさに、孵化したばかりのかげろうが、
百万匹の群れとなって川原に浮遊している。
それに呼応するように、川面では、渓流魚たちがかげろうを捕食すべく、
さざめきたっている。
一挙に騒がしくなってきた沢で、ひとり取り残されている、私。
結局、その日の釣果は、うぐいを2、3匹だったと記憶している。
それよりも、私の記憶に焼き付いているのは、あの時の沢の光景である。
西日の射し込む渓流に、無数のかげろうの羽の輝き。
川面の輝き、魚の輝き、そして、太陽の輝き。
【天候】
終日、雲一つない快晴。