1154声 異文化交湯

2011年02月27日

「潔く入れ」
語気の荒い言葉が、飛んできた。
その言葉に背中を押される様に、浴槽に片足突っ込んでいた兄弟。
決死の思いで、浴槽の中へ、体を埋めて行く。

それは、私が先程、高崎の銭湯で見た光景。
親父に連れられて銭湯へ来た、兄弟である。
大人なら兎も角、銭湯のあの熱い湯船に浸かる際、
子供は随分と大変であろう。
最近、大人でも躊躇しつつ浸かってゆく御仁を、多く見かける。
そこへ来て、この頑固な親父さんは、それを許さない。
子供には、ちと酷だと思ったが、反面、古風な教育方針だと、関心した。
それは、この家族が、日本人でなく、
中東系の外国人だったから、尚更、である。

一般的に、銭湯へ来る外国人はマナーが悪い。
なんて、言われているが、一概にそんな事も無い、と感じている。
私も、群馬県内各地の伝統銭湯へ入浴しているが、
湯客に、少なからず外国人の方を見掛けた。
そこではむしろ、日本人のマナーが疑わしい局面に、
出遭う事の方が多かった。

外国人における、「マナーが悪い」。
と言うのは、異文化である銭湯文化を、知らない者であろう。
日本人における、「マナーが悪い」。
と言うのは、銭湯文化を知りつつも、それにあえて準じない者、だと思う。
どちらが性質悪いかと選べば、後者を挙ざるを得ない。
私が今日見た外国人の様に、日本人よりも日本人らしく銭湯に入り、
そこで、子供の教育までする、筋の通った外国人だっている。
と言う事は、銭湯マナーの周知徹底が出来れば、外国人の潜在顧客を、
大いに呼び込める、のである。
巷の銭湯で、異文化交湯が見られる日が、もうそこまで来ている。

【天候】
終日、穏やかな快晴。
風も弱く、暖かな気候。
銭湯の瓶牛乳、平均110円。