1182声 染まりあう、青

2011年03月27日

縄暖簾のカウンター。
明らかに、発泡酒と思しき、生ビール。
明らかに、低級酒と思しき、冷酒に熱燗。
そんな事より何より、大将の人柄と、焼き鳥が美味いので、
この店に通っている。
こんな場末の飲み屋でも、会話の転ぶ先は、大震災の話。

アルコールの酔いが心地好いのは、
それまで張り詰めていた神経が、鈍化しするから。
たまには(たまにならよいのだが)、神経だって休ませなければ、
疲弊してゆく一方である。
神経が鈍化するのは良いのだが、当然、複雑な脳神経において、
様々な不協和音をきたす。
例えば、満腹中枢の機能不全が起こり、さんざん飲み食いした揚句、
ラーメンなどを「締め」などと称して、啜ってしまう。

そして今朝、その安酒と暴飲暴食のツケが、一気にまわってきた。
寝床で呻吟しながら、甘んじて我が体内機能がツケを返してゆく。
あらかたツケを返し終わったところで、寝床から這い出し、
気分転換に外へ出てみた。
庭先の木々の蕾も、大部膨らんでおり、春爛漫の時期を近く感じた。
その根元には、寄り添う様に咲いている、おおいぬにふぐり。
俳句のひとつでも、と思い、しゃがみ込んで、しばし眺めていた。
しかし、昨夜の鈍化がまだ色濃く残っている様で、浮かぶのは駄句ばかり。
あきらめて、自転車で散歩に出掛けた。
空の青色と、おおいぬのふぐりの青色とが、脳内で、爽やかに染まりあった。

【天候】
終日、快晴。
午後より、狂える如き風、吹き荒れる。