1186声 春の職員室

2011年03月31日

日増しに、気温が暖かくなっている。
計画停電の実施見送りも続き、且つ、
春休み期間と言う事も有り、巷には駘蕩とした空気感が漂っている。

昨日は、自分の出身学校へ行く用事があった。
仕事であるが、行く日を、いささか楽しみにしていた。
玄関から入り、ぺったんこの来客用スリッパをつっかけて、
廊下を歩いてみた。
建物は変わっていないのだが、やはり、当時より随分と狭く感じた。
静まり返っている廊下から、校庭の桜並木が見えたが、
未だ桜は咲いていなかった。
芭蕉の句。

「さまざまのこと思ひ出す桜かな」

まさに、そんな趣がであった。

職員室の脇に、山村暮鳥の詩が掲示してあった。
その昔、山村暮鳥が代用教員を勤めていた学校なのである。
在学当時は、「ぼちょー」と言われても、
その語感の面白さしか残らなかったが、
青年になってから、この同郷の詩人の作品に、感銘を受けた。
日当たりの悪い、壁の隅っこに掲示してある暮鳥の詩を、
卒業した後、読み返しに来る子供がいるかも知れない。
そう言う光景が、連想された。

職員室の扉を、ゆっくりと開けた。
その「ガラガラッ」と、引いて開ける扉の音と手の感覚が、
小学生時分を鮮明に、思い起こさせた。
私の在学当時は、職員室の扉を開けると、いつも、
煙草の紫煙が渦巻いていた。
出て来たのは、煙草の紫煙ではなく、
私よりも随分と年若な、女性の先生だった。
扉を開ける際、反射的に、「しつれいします」と、大きな声が出た。
教育ってのは、体の奥底に染み込んでいるものである。
今時分の先生方の服装ってのも、随分とお洒落になったと、感じた。

【天候】
終日、快晴。
午後より風強く雲多し。