日増しに、気温が暖かくなっている。
計画停電の実施見送りも続き、且つ、
春休み期間と言う事も有り、巷には駘蕩とした空気感が漂っている。
昨日は、自分の出身学校へ行く用事があった。
仕事であるが、行く日を、いささか楽しみにしていた。
玄関から入り、ぺったんこの来客用スリッパをつっかけて、
廊下を歩いてみた。
建物は変わっていないのだが、やはり、当時より随分と狭く感じた。
静まり返っている廊下から、校庭の桜並木が見えたが、
未だ桜は咲いていなかった。
芭蕉の句。
「さまざまのこと思ひ出す桜かな」
まさに、そんな趣がであった。
職員室の脇に、山村暮鳥の詩が掲示してあった。
その昔、山村暮鳥が代用教員を勤めていた学校なのである。
在学当時は、「ぼちょー」と言われても、
その語感の面白さしか残らなかったが、
青年になってから、この同郷の詩人の作品に、感銘を受けた。
日当たりの悪い、壁の隅っこに掲示してある暮鳥の詩を、
卒業した後、読み返しに来る子供がいるかも知れない。
そう言う光景が、連想された。
職員室の扉を、ゆっくりと開けた。
その「ガラガラッ」と、引いて開ける扉の音と手の感覚が、
小学生時分を鮮明に、思い起こさせた。
私の在学当時は、職員室の扉を開けると、いつも、
煙草の紫煙が渦巻いていた。
出て来たのは、煙草の紫煙ではなく、
私よりも随分と年若な、女性の先生だった。
扉を開ける際、反射的に、「しつれいします」と、大きな声が出た。
教育ってのは、体の奥底に染み込んでいるものである。
今時分の先生方の服装ってのも、随分とお洒落になったと、感じた。
【天候】
終日、快晴。
午後より風強く雲多し。