1187声 初花の誘い

2011年04月01日

「こっちこっち」
と、案内をされたのは、暗がりの幹。
差し出された指の先、屈んで顔を近づけてみると、あった。
初花が、である。

僅かに二輪ばかし、咲いていた。
この、前橋公園内の他のソメイヨシノは、未だ蕾を固く閉ざしている。
公園の隅に、少しばかり立ち並んでいる夜店屋台も、
骨組みだけを残している。

懐中電灯で照らし、慌てて句を引っ張り出そうと、その可憐な花弁を凝視。
無粋な私の見つめ方が、桜の花びらの機嫌を損ねた様で、
いささか、花の色が陰った様な気がした。
そんな調子なので、満足な句など出来やしない。

おまけに、集合時間を1時間しくじってしまい、
私に残された時間は、せいぜい30分。
30分で何とか数だけを揃えて、投句。
月例の句会も、折角、趣向を変えて、前橋公園へ夜桜吟行だと言うのに、
私の結果は勿論、惨憺たるものとなってしまった。

「いやはや、遅れました」
と、先生に挨拶した時、ふんわりと、夜風に漂って来たのは、酒の香り。
寒さしのぎに、コップ酒でも飲んでいらしたのだろう。
花見の匂いだな、と思った。

【天候】
終日、穏やかな快晴。
計画停電も今週は見送り。
花粉の飛散量は多いけれど、駘蕩とした空気。