朝から雨。
休日、それも桜の時期の雨。
ってのは、巷には喜ばれないかも知れない。
しかし、今日の私にとっては、喜ばしいことに思える。
花粉症のこともあるが、雨の休日。
ってのは、神経を休めるには、丁度良い。
一刻も早く、曇天を引き裂いて、青空の顔が見たい。
なんて思っている方々は、大変、精神的に健康な状態だと思う。
昨晩は、隣町にある場末の居酒屋に行ってみた。
「行ってみた」
と言うのは、その店が初めての店だったから。
初めて入る酒場(この場合では個人経営の小さな飲み屋であるが)、
と言うのは、ちと緊張する。
生麦酒から始まって、カウンターでひとしきり飲む。
店内、私を除いて、みな顔見知りの常連さんばかり。
その中にいて、ひとり粛々と、杯を進めてゆく。
時折、厨房の親父さんが気を使って話しかけてくれるが、
会話を上手く繋げない。
仕様が無いので、テレビのボクシング中継ばかり見ていた。
会話に混ぜてほしい。
のではなく、この、空気に混ぜてほしい。
のだな、などと、たこわさびをつつきながら、
自らの胸の奥を探っている、かなしさ。
帰る頃にはやや千鳥足になっており、
店の女将さんが、見送ってくれた。
覚束ない足取りで、二階から降りて行く、私の背中を、
呆れた様な顔で見ているような、気がした。
階段の下まで降りて、数歩。
「ゴチリ」
音がした暗がりの方へ目をやると、
砲弾のようなものがひとつ転がっていた。
顔を近づけて確認すると、それは、
プロパンガスのバルブの上にかぶせてある、カバー。
元の位置に立てて、帰った。
砲弾、ではなくて良かった。
【天候】
朝より雨だが、直ぐに止む。
午後には薄日が差し込み、しきりに囀りも聞こえた。