「赤くなってるよ」
言われて、鏡の前に背中を向けて見れば、
背中の真ん中に、野球ボールほどの赤丸が二つ。
「15センチくらい離した方がいいねぇ、あれは、気持好いんだけど」
「そうですね、気持好かったんで、つい、近づけてしまいました」
手拭いを背中にまわして、ゴシゴシと、
恥ずかしさ紛れに、擦ってみた。
私の背中に赤丸を付けたもの。
それは、浴槽に付いている、「ジェット噴射」なのである。
今日は、渋川市の銭湯「福寿湯」に久しぶりに出掛けた。
いつ来ても、福寿湯の浴室は、清潔で洒落ていると、感じる。
福寿湯の湯船には、強力なジェット噴射が二基、付いている。
これを背中に当てて、ゆったりと湯船に浸かるのが、
入浴客の至福の時間なのである。
福寿湯において、私の数ある中の好きな点に、
湯温が温い、と言う点がある。
これにより、ゆったりと長湯ができる。
ジェット噴射を至近距離で背中にあて、長く浸かっているものだから、
その跡が、くっきりと残ってしまったのである。
「爺臭い」
と思われても、私の体がジェットの刺激を欲しているのだから、
そう思われても、仕方が無い。
湯上がり。
番台のおばちゃんと、オロナミンCを飲みながら、雑談。
私の本を読んで、首都圏から来てくれた湯客があるようだった。
以前、開催された銭湯ナイトで、
群馬県北部の銭湯事情を尋ねられた事があり、
その人かな、とも思った。
県外から、女性も来ている様だった。
伝統銭湯では、「女性の強さ」を思い知る場面に、多く出くわす。
ここ福寿湯も、然り。
【天候】
終日、穏やかな快晴。
群馬県内の里山、菜の花と桜のコントラストが、とても綺麗である。