花が、咲いた。
「俳句の花図巻」(尚美堂出版)を片手に、庭先を歩いて、
花と、花の名前を照らし合わせていた。
今日から五月と言えど、まだ今時期は、晩春の気配が濃い。
花々を見るに、ライラックなどはやっと、咲きだしてきた。
鼻づまり生活によって、その香りを嗅げないのが、いささか残念である。
季節を感じるのでも、やはり、嗅覚なしには季節感を正確に捉えられない。
と、実感した。
しかし、風情だけでも楽しもうと思い、一枝折って、牛乳瓶に活けておいた。
客人などを意識して、玄関などに活けておいたら、良いのではないかと思ったが、
訪ねて来る気配も無いので、自分の机の上に置いた。
訪ね来る人もをらずやリラの花 諒一
小さい花である。
玄関脇の芝生に、大犬のふぐりなどに邪魔されつつも、ひっそりと咲いている。
細い茎の先端に、小さな六弁を咲かせていて、薄紫色。
中心部に輪をかけた様に、濃い紫色がさしている。
たえて、名前が分からなかったのだが、図鑑を見て、判明した。
「庭石菖」
と言うのが、この花の名前。
「にわぜきしょう」と読む。
明治中期に渡来した北アメリカ原産の花、と図鑑にはある。
その花の、着物にでもしたら良い色合いだろうなと思われる印象から、
極めて和風な花と見ていたが、北アメリカとは意外だった。
自宅の裏から、榛名山や赤城山を仰ぎつつ、一面の野原を眺めていると、
太古から続く野の景色。
に近しいものと錯覚しているが、実際、野の花一つとっても、
野生化している外来種が多くあるので、随分と趣は変わっていよう。
それも、俳句をやっていなかったら全く気付かなかった事である。
【天候】
朝より曇り。
午後より、雲晴れて来るが、霞みががった青空。
風もなく、穏やかな日和。