1217声 リラの花

2011年05月01日

花が、咲いた。
「俳句の花図巻」(尚美堂出版)を片手に、庭先を歩いて、
花と、花の名前を照らし合わせていた。

今日から五月と言えど、まだ今時期は、晩春の気配が濃い。
花々を見るに、ライラックなどはやっと、咲きだしてきた。
鼻づまり生活によって、その香りを嗅げないのが、いささか残念である。
季節を感じるのでも、やはり、嗅覚なしには季節感を正確に捉えられない。
と、実感した。
しかし、風情だけでも楽しもうと思い、一枝折って、牛乳瓶に活けておいた。
客人などを意識して、玄関などに活けておいたら、良いのではないかと思ったが、
訪ねて来る気配も無いので、自分の机の上に置いた。

訪ね来る人もをらずやリラの花   諒一

小さい花である。
玄関脇の芝生に、大犬のふぐりなどに邪魔されつつも、ひっそりと咲いている。
細い茎の先端に、小さな六弁を咲かせていて、薄紫色。
中心部に輪をかけた様に、濃い紫色がさしている。
たえて、名前が分からなかったのだが、図鑑を見て、判明した。

「庭石菖」
と言うのが、この花の名前。
「にわぜきしょう」と読む。
明治中期に渡来した北アメリカ原産の花、と図鑑にはある。
その花の、着物にでもしたら良い色合いだろうなと思われる印象から、
極めて和風な花と見ていたが、北アメリカとは意外だった。

自宅の裏から、榛名山や赤城山を仰ぎつつ、一面の野原を眺めていると、
太古から続く野の景色。
に近しいものと錯覚しているが、実際、野の花一つとっても、
野生化している外来種が多くあるので、随分と趣は変わっていよう。
それも、俳句をやっていなかったら全く気付かなかった事である。

【天候】
朝より曇り。
午後より、雲晴れて来るが、霞みががった青空。
風もなく、穏やかな日和。