1269声 水の上には水の馬

2011年06月22日

夏至の今日は、群馬県館林市で、およそ36℃を観測。
昨日に引き続き、暑い日が続いている。
そんな猛暑日に、吟行、汗を拭いつつの句会であった。

参加者の句を見るに、季題が「水馬」に集中していた。
無論、私のその中の一人。
公園内、各人各所で吟行していても、水辺の涼を求めていたのだろう。
その水面を見れば、夥しい数の水馬が、浮かんでいたのである。

こう暑くては、水馬とて、参ってしまうらしい。
池の中、大樹の陰が落ちている暗がりは、涼を求める水馬たちで大混雑。
通勤ラッシュ時の新宿駅。
と言った様相で、押し合いへしあい。

日陰の水馬と言うのは、左程、面白味も無かったのだが、
明るい場所にいる水馬は、面白い。
水馬では、何度も詠んでいるが、今日、改めてそう感じた。
「表面表力」だとか「油に似た液体」なんて言う、
水馬の浮力の秘密を解き明かしてしまうと、野暮ったいが、
水面でのあの動きは、見飽きない面白味がある。
明るい場所では、それが、鮮明に分かる。

水面を滑る姿は、アイススケーターのようである。
時折、跳てゆくものは、フィギュアスケーターさながらの、演技力。
水面に広がる水輪、その下に生まれる影。
水馬が動く、その下には、動く水と動かぬ水。
そして、あの六本の足の下と、水の上の間には、
何か、人間の知らざる力が働いているような気がした。

そう言う、私たちの知らざる力。
と言うのが、自然には大いにあるのだろうな、と感じる。
「今の子はさぁ、学校送り迎えの子が多いからさぁ、
自然と接する機会が、少ねぇじゃん」
とは、先生の談。
翻って考えると、私たち現代人も、その生活の中で、
自然に接する機会、自然の神秘的な力に触れる機会が、ことごとく少ない。
俳句をやっていなかったら、水馬など、まじまじと見ないものな。
しかし、あめんぼが「水」の「馬」とは、上手い事言う。

【天候】
朝より炎天の猛暑日。
夜半に一時雨降るも、蒸し暑い夜。