カラオケ店の脇を通りかかると、一瞬、釘づけになった。
入口脇に停めてある、夥しい数の自転車に、である。
この時期のカラオケ店と自転車、と言う事で、直ぐに気がついた。
「夏休み」
なのである、巷の学生諸氏は、昨日から。
休みの日でも制服を着ているのは、女子高生のみに顕著に見られる特徴である。
丁度、遅れて来たのだろうか、制服の女子高生が二人、カラオケ店の中へ入って行く。
一人の右手には、持ち込みの食料と思しき、パンパンに膨らんだコンビニ袋。
腕時計に目を移せば、まだ午前10時を回ったところ、である。
あのコンビニ袋の中には、おそらく、相当数の昼食も入っているのだろう。
その中の一人がどこからか手に入れて来た、安物の缶チューハイやらカクテルやらを、
回しの飲みしつつ、流行歌を片っ端から歌いまくりかつ踊りまくり、大いに騒ぐ。
おそらく、高校生の夏休みなど、そんな状況予想に反しないと思う。
そう言えば先日、熱湯が好きだと言うお爺ちゃんに、訪ねてみた事がある。
「どうして、そんなに熱い湯が好きなんですか」
すると、お爺ちゃん得意げに、
「熱いとさぁ、出た時が気持いいんだよ、風が爽快でさぁ」
そして、
「温い湯にだらだら入るより、熱い湯にさっと入って出る方が、気分がいい」
とも。
確かに、温い湯てぇのは、入り易いのだけれど、出た時の爽快感に欠ける。
その点、熱い湯は入る時こそ辛いが、肩まで浸かって直ぐ出れば、
驚くほど爽快感が得られる。
汗も、熱湯にさっと入浴した時の方が、直ぐに引いて、肌がさらっとした印象である。
こんな下手なレトリックのように、学生生活は単純ではないが、振り返って、自分。
もう少し、熱い湯に浸かっておけばよかったな、などと、時々思ったりしている。
ともあれ、湯水のように時間を使える、彼女等の青春は、まだ長い。
【天候】
朝より、小雨交じりの曇天。
台風6号も過ぎ、夕方より徐々に晴れ間。