1298声 浸かるなら熱い湯

2011年07月21日

カラオケ店の脇を通りかかると、一瞬、釘づけになった。
入口脇に停めてある、夥しい数の自転車に、である。
この時期のカラオケ店と自転車、と言う事で、直ぐに気がついた。

「夏休み」
なのである、巷の学生諸氏は、昨日から。
休みの日でも制服を着ているのは、女子高生のみに顕著に見られる特徴である。
丁度、遅れて来たのだろうか、制服の女子高生が二人、カラオケ店の中へ入って行く。
一人の右手には、持ち込みの食料と思しき、パンパンに膨らんだコンビニ袋。
腕時計に目を移せば、まだ午前10時を回ったところ、である。
あのコンビニ袋の中には、おそらく、相当数の昼食も入っているのだろう。

その中の一人がどこからか手に入れて来た、安物の缶チューハイやらカクテルやらを、
回しの飲みしつつ、流行歌を片っ端から歌いまくりかつ踊りまくり、大いに騒ぐ。
おそらく、高校生の夏休みなど、そんな状況予想に反しないと思う。

そう言えば先日、熱湯が好きだと言うお爺ちゃんに、訪ねてみた事がある。
「どうして、そんなに熱い湯が好きなんですか」
すると、お爺ちゃん得意げに、
「熱いとさぁ、出た時が気持いいんだよ、風が爽快でさぁ」
そして、
「温い湯にだらだら入るより、熱い湯にさっと入って出る方が、気分がいい」
とも。
確かに、温い湯てぇのは、入り易いのだけれど、出た時の爽快感に欠ける。
その点、熱い湯は入る時こそ辛いが、肩まで浸かって直ぐ出れば、
驚くほど爽快感が得られる。
汗も、熱湯にさっと入浴した時の方が、直ぐに引いて、肌がさらっとした印象である。

こんな下手なレトリックのように、学生生活は単純ではないが、振り返って、自分。
もう少し、熱い湯に浸かっておけばよかったな、などと、時々思ったりしている。
ともあれ、湯水のように時間を使える、彼女等の青春は、まだ長い。

【天候】
朝より、小雨交じりの曇天。
台風6号も過ぎ、夕方より徐々に晴れ間。