1337声 四季の面々

2011年08月29日

遠慮もなしに、どかどかとやって来て、席に居座っている。
まだ春がその席を立っていない、5月初旬あたりから、もう自分の仕事をやり始めている。
その気迫に押されて、春が席を立って足早に帰ってしまうと、
さっきまで精を出していた仕事を投げ出して、気まぐれにどこかへ行ってしまう。
そこで、見かねた梅雨が応援に来て、しばし、季節の間を繋いでいる。
すると、ひよっこり戻って来て、さっきまでの気まぐれはどこへ置いてきたか、
朝夕の区別なく、猛烈に仕事に精を出している。
周りの人たちは、そんなら磊落な夏に辟易としながら、いつの時代も、
若者には絶大なる人気を得ているから、憎めない。

「もうそろそろ」
と、みなそう思っているだが、中々、帰ろうとしない。
特に、若い人たちは「帰って欲しない」と言い、
あげくには、「エンドレスサマー」なんて言っている人たちもいる。
それで良い気になって、「立秋」と言う合図があったにも関わらず、
まだしぶとく居座って、空の上で大いに暴れ回っている。

しかしながら、聡明な秋の方がやはり一枚上手で、夜になると虫の指揮をとって、
涼やかな音色を奏でている。
これには夏もかなわない様で、最近ようやく、帰り支度を始めている模様。
あんなお騒がせな夏でも、去りゆく後姿には、やはり郷愁が感じられて、
いささか寂しい心持がする。
多彩な秋と一緒に、スポーツをしたり行楽に行ったり、食事を食べたり本を読んだりするのも、
季節の中では、特に至福の時間である。
その後に来る冬の厳しさを思えば、秋とは仲良くやって行けそうな気がする。

【天候】
終日、曇りがちなる晴れ。
日中はまだ蒸し暑し。