1347声 祖母のこと

2011年09月08日

三本目の麦酒を飲み干して、既に、相当酔いが回っている。
張り詰めていた気がほぐれたのか、今日は、随分と酔いの回りが早い気がする。

これを書いている今日は、9月8日である。
二十四節気では、草花が露をたくわえ、秋の気配が深まる「白露」の時節。
そんな、秋気澄む清々しい朝に、祖母が逝ってしまった。
命日は6日。
享年86(満85歳)であった。
葬儀を済ませて、今、虫の音が聞こえる自宅の窓辺で、
麦酒を飲みながら一息付いている。

6日は、ばあちゃんの家で寝た。
私と、じいちゃんとばあちゃんの3人。
まるで、子供時分の夏休みの様に、久しぶりに3人で寝た。
あの頃は、ばあちゃんの飼っている鈴虫が鳴き始めると、
それが夏休みが終了の合図の様で、あの声が嫌だったっけ。
ばあちゃんも、久しぶりに病院から家に帰って来て、
虫の音を聞きながら、ゆっくりと寝れたみたいであった。

そして、私のばあちゃんは、もうこの世にいない。
この世に肉体がいるか、いないかなど、ささいな問題である。
この空の下に、光の中に、私もばあちゃんも、いる。
「たましい」と呼んでいるそれは、いる。
しかし、そのささいな問題の為に、私はもうばあちゃんに会う事が出来ない。
会って話したり、笑ったり、手を握ったりが、もう出来ない。
こればかりはどうしようもないので、この世にいる私は、ばあちゃんのたましいに向かって、
目を閉じ手を合わせ祈っている。

そうすると、感じる。
白露の一滴に、虫の音の響きに、この世界のあまねく光に。
ばあちゃんを感じる事ができる。

【天候】
終日、穏やかな秋晴れ。