1351声 やさしいすすき

2011年09月12日

今宵は十五夜。
中秋の名月、である。

昼間、街の和菓子屋から出て来たおばちゃんが、手にすすきの穂を携えていた。
おそらく、お月見団子を買ったら、店の粋な派ならいですすきをくれたのだろう。
この現代社会の家庭で、お月見を祝っている家庭がどれほどあろうかと、ふと思った。
バレンタインデーやクリスマスなどには目を向けているのに、十五夜などの伝統行事となると、
どこか他人事になっている傾向がある。

清かなる月を愛でながら、虫の音響く縁側で、十五個積まれた団子を食べる。
自分の記憶を振り返り、その行事をきちんと執り行った事も無ければ、参加した事も無い。
小学生時分に、授業で教わった覚え、のみがある。
名月の後の、「十六夜」、「立待月」、「居待月」、「寝待月」、「更待月」。
月の満ち欠けに応じてその呼び名の変わる、日本人の繊細な季節感覚を知ったのは、
大人になってから。

私も俳句などやっていなかったら、今日の名月など気にも留めなかっただろう。
昨日、俳句を詠みに行った、中之条町のふるさと交流センター「つむじ」に、すすきが活けてあった。
その銀色に輝いている穂に、手の甲で触れてみたら、少し温かみある、なんとも、やさしい感触だった。
十五夜と言うのは、なんと繊細で、なんとやさしい感覚の、祭事であろうか。

【天候】
日中は、秋晴れで甚だ蒸し暑し。
夜は十五夜で、風、幾分か爽やか。