1355声 庭の鈴虫

2011年09月16日

今朝、この日刊「鶴のひとこえ」を更新しようと、パソコンの前に座っていた。
まだ、太陽が昇りきっておらず、窓からは清涼な秋風が吹きこんでくる。
風に乗って来るのは、鳥の声、そして虫の声。
その声に、おそらく一匹だけであるが、鈴虫の声を聞いた。

鈴虫は、亡くなった祖母が好きで、毎年飼っていた。
野生の鈴虫は珍しいらしく、確かに、野を歩いていてあまり鈴虫の音を聞かない。
この窓辺に座っていても、夜はコオロギだとかクツワムシだとか、他の虫の声が高い為か、
鈴虫の声など聞こえて事が無かった。
それが今、あの鈴を鳴らす様な涼しげな音色が、聞こえている。

「リーンリーンリーン」
と言う鈴虫の声を聞くと、晩夏の祖母の家が思い出される。
切った茄子を楊枝に刺して、鈴虫の虫籠に入れたり、朝になると霧吹きで吹いてあげたり。
丁寧に飼育すると、とてもいい音色で鳴いてくれた。
太陽が高くなって、風も止んで、いつも間にか鈴虫の音も無くなって、いつもの残暑の朝が来た。

【天候】
終日、秋晴れの残暑。