1373声 今朝の秋

2011年10月04日

畦に群れ咲いている彼岸花も、風に吹かれるたび、
赤色を脱色されて行くかのように、色褪せて来た。
稲が干してある稲架が、刈田に整然と並んでいる風景は、
遠くの連山を、一層近く見せる。

今朝、である。
外に出て、澄んだ大気の秋冷を感じつつ、深呼吸。
焼けの紫色を底に敷いている高い空には、雲ひとつ見当たらない。
裏庭から山を望むと、輪郭のくっきりとした榛名山を背に、
一面の金色が風にそよいでいた。

そこに、大空を悠然と飛んでゆく、五羽。
たわんで長い首、滑る様な飛翔、日に輝く白い羽。
それは、白鷺の一団であった。
その種類までは確信を得ないが、おそらく、「だいさぎ」であろう。
飛翔する姿は、遠目からは、鶴にも見えなくはない。

あまねく朝陽の中を、さらりさらりと、飛びゆく白鷺の姿をみて、
今日一日、何か良い事がありそうな気がしていた。
そんな荘厳な気配が、今朝の裏の田圃に、満ち満ちていた。
もう、一時間もすると、遠くに見える幹線道路が渋滞し、
街の空が濁り始めてくる、時間。

【天候】
終日、秋晴れ。