新宿駅東口を出て、歌舞伎町へ入る。
この喧騒の中を行くのは、丁度一年ぶり。
季節は確実に巡っているの。
しかし、一年前の同じ日同じ時間に、同じ様な秋の夕暮れ時の露地を歩いていると、
「本当に一年経ったのだろうか」
と言う錯覚に陥る。
つい昨日の様な心持でもあり、遠い昔のような心持でもある。
「銭湯ナイト」の会場である「ロフトプラスワン」へ着くと、入口に「第7回」とあり、
やはり「第6回」から一年経ったのだと、感じる事が出来た。
地下へと続く階段を下り、会場に入る。
慌ただしく搬入や設置を済ませ、これまた慌ただしく様々な関係者の方々と挨拶。
そして近況報告や情報交換などを済ませ、雪崩式に開場。
イベント自体は、いわずもがなの大盛況。
三連休の最終日にも関わらず、満席になっていた。
夜も深い時間まで、東北の銭湯を中心とした濃い話が続く。
町田氏や出演者の方々の保有する、東北銭湯の秘蔵の写真が、
貴重な市井の文化遺産であると、この大震災を通して、改めて実感した。
ぽつりぽつり、と自身の本も売れ、今回の目玉として持って行った、
「群馬伝統銭湯地図」もまずまず配布出来た。
去年買って下さった方々の感想を聞く機会があり、
まさに自ら直販できるこのイベントならではの事だったので、新鮮だった。
今回は早上がりして、東京から新幹線の最終へ飛び乗って帰路へ。
新幹線の終電。
と言うのは、初めて利用した。
寝静まった街を猛スピードで走り抜ける、車内販売の来ない、ひっそりとした車内は、
いささか寂しい思いがした。
窓に反射する光を眺めていたら、つい先程までの、煩わしい繁華街の喧騒や、
下品に揺れる原色のライト、そして熱気あふれる地下の一室が、妙に懐かしくなっていた。
【天候】
終日、秋日和。