1434声 ぽかぽか

2011年12月05日

身に沁みて。
本当に、「身」に「沁みて」と鍵括弧に入れたいくらいに、感じる。
温まる、と言う事を。

それは、銭湯のあの大きな湯船と、自宅の足を折り曲げて入らねばならぬ、
狭っ苦しい風呂との違い。
体の温まり方が、どうしてこうも違うのか、いつも感じる。
自宅の風呂では、体が芯まで温まる感じがしないからである。

銭湯でのひとっ風呂は、湯の温度が熱いと言うこともあろうが、
滝のように汗が流れる。
吹いても吹いても止まらぬほど流れ、やっと落ち着いたら、
体内に温かな血液が駆け巡っている事が分かる程、体が温まっている。
そして、その「ぽかぽか」が、長時間続く。

銭湯も自宅も、お湯に入浴剤を入れている事は同じ。
然らば、湯温を熱くして入れば、あの「ぽかぽか」を手に入れる事が出来る。
そう目論んで、入浴剤を溶かし、湯船からこぼれるほど張った湯を沸かし、
長時間入浴しても、どう言う訳か、駄目なのである。
銭湯での、滝のような汗もなければ、長時間のぽかぽか感もなく、
すぐに爪先から湯冷めしてきてしまう。

こと、師走からの寒い時期。
銭湯の大きな湯船がとても恋しくなる。
恋しいのだが、銭湯への道のりが四季の中で一番億劫に感じるのが、
この寒い時期。
空っ風吹きすさぶ暗い路地を、湯上がりの体で歩くかねばらなぬ帰り路。
あの時の寒風もまた、身に沁みる。

【天候】
終日、冬日和。