1596声 感覚と感性

2012年05月16日

料理人は料理をつくる時は、いつも空腹な状態でなければならぬと聞く。
空腹でないと感覚が鈍るからである。
それは料理のみならず、あらゆる創作、例えば私で言うと俳句を作る時にも言える。
満腹時よりも、すこし小腹が空いている時の方が、鋭敏な気がする。
鋭敏ならば秀句が生まれるかと言うと、また、それが難しいところだが、
概ね鋭敏なほうが良い。

その伝で言うと、精神が満たされている時よりも、満たされておらぬ、
満たされようと渇望している時の方が、感性が鋭いと言うことになる。
感覚と感性が鋭い状態こそ、創作に向いているのではなかろうか。

私の場合は、精神が満たされぬものだから、
せめて、腹だけでも満たされようと思い、三度三度食事は欠かさぬ。
それに加えて、あとの足りぬところは酒で補っている有り様。
近頃、目方も目に見えて増えて来たし、いっそこの渇望状態を維持しようかしら。
そうは思えども、腹八分で止められず、
どうしても満たそうとしてしまうのが性分なので、性質が悪い。

なるほど、どうりで食後に風呂上がりの缶麦酒を飲みながら書いている文章に、
精彩がないはずである。

【天候】
終日、快晴かつ薄暑。