1785声 チェックアウト

2012年11月25日

ビジネスホテルの殺風景な部屋での目覚めは、良い訳きゃない。
差し迫るチェックアウト時間にまくし立てられながら、シャワーを浴びると、
昨夜の酔いががぶり返して、血液の中で暴れだす。
ふらふらと風呂場から這い出て、取り合えず、血液が平穏を取り戻すのを待って、
身支度を済ませた。

ローカル線の街なので、電車の接続は悪い。
駅の時刻表を眺めつつ、どうしたのもかと悩んでいる私の隣には、
仲間内でも一番の飲んだくれである、Wがいる。
聞けば、昨晩さんざん飲んだ挙げ句にホテルに帰り、
それからまだ日本酒四合と缶麦酒一本飲んだらしい。
缶麦酒が350mか500mは、あえて訪ねなかった。

天気は小春日和であるし、この辺りはまだ紅葉も残っていると思い、
散策してみることに決めた。
昨晩の夜の顔だった街が、今度は朝の顔になっており、
いささかバツの悪い印象であるが、商店街を抜ければ渓谷がある。
入間川の清流が流れており、予想通り、冬紅葉が綺麗に日に透けていた。
川沿いを小一時間ばかりあるいて、ラーメンを啜って帰路に着いた。
Wは、その時点でまだ生麦酒を飲んでおり、聞けば、
家路に着くまでにも居酒屋で杯を空けて行ったらしい。

強靭な内臓。
それが無い為に、私などは毎回、酒との付き合いでは辛酸を舐めることになるが、
このWのように、それを持っているがために舐める辛酸と言うものもある。
更に重たくなった体と、更に軽くなった財布を携えて、
よろよろと高崎駅へと帰って来た。
駅を出るともう夕方の風が吹いており、帰りのバスの車窓風景には、
えびす講の終わった商店が、祭りの片付けに勤しんでいた。

【天候】
終日、冬日和。