今月9日、日曜日。前橋の日帰り温泉あいのやまの湯にて「落語と風呂」を開催。といいましても、毎月あいのやまの湯で落語会を開いている主催者(やまたけさん)に便乗しての催し。あいのやまの湯は、駐車スペースを見つけるのにも苦労するような混雑ぶりでした。
参加者6名。みな、落語を生で聞くことも、家の外で風呂に入ることも社会生活の向こう側にある、という働き盛り。だから落語を聞いて風呂に入って、それだけで十分。落語を聞いて風呂に入る、ただそれだけの催しで、落語を聞いて風呂に入って、帰ってきました。もちろんそれが、いい落語といい風呂だったら、なおさらいい。
今回噺を聞かせてくれた落語家春風亭一之輔さんは二つ目の落語家ですが、落語が上手い落語家です。自然と聴く者を、話の中に引き込んでくれる、テンションを上げてくれる。・・・と、そうなるはずだった。ところが私、当日の体調がまるでダメ。話の内容すら頭に入ってこない始末。エンターテインメントは、社会生活が機能していないと楽しめないんですね。
そんなことより、春風亭一之輔。とてもデリーケートな方とお見受けしました。
デリケートは、たいてい自我の強さと裏腹なものですが、その矛盾するようなものが同居しているからこそ、芸の繊細さや力強さにもつながる・・・人はつながる。
デリケートは、それがバレたら困るというようなものだから、普通は隠す。どうやって隠すかというと、テンションを上げるのが一番手っ取り早いです。おおむねそうやって生きている人が圧倒的で、私もよくやる。でもそれだと、リアリティが尻つぼみになっていきます。簡単に言えば、嘘っぽくなる。
春風亭一之輔は、テンションを上げない。
シリーズ風呂は、今後も続く予定です。今回の会場は日帰り温泉施設でした。ぜひ次は、本丸・街場の銭湯でやりたいものです。たとえば紅白銭湯歌合戦、とか。日程は後日、このコンテンツにてお知らせいたします。(堀澤)