3920声 フォーカス 

2018年08月08日

塩野七生の面白さは、対象となる主人公なり、戦争なり、国なりに対して、
ググッとフォーカスして、愛情のある目線で語るところである。
かなり女性性を感じる部分がある。若い騎士なんてほぼ恋している感じである。
ただベースとなる文献はラテン語の原典を読み込んでおきながら、私は学者ではないと本文でも何度も言っているが、
竹でスパンと割ったように事実を解釈するあたりが非常に小気味良い。
かなり複雑なローマの政治体制やインフラ等の解説も平易な文章で尚且つ面白く書いてくれる。
それと地図や図解での説明が親切。欲しいところで、欲しい尺図の地図が挿入されてくる。
塩野七生の呼吸や歩幅に会わせて、その時代のイタリアを旅しているようである。