5784声 描かれていない部分

2024年04月08日

花曇りのち雨。日々、おたおたしていて桜が碌に観れていない。見ごろを完全に逃しているが、この時期はそんなものだろうと、半ばあきらめる。句集に飽きて歌集などを読む。短歌は私性が顕れているので、その作者の年代別に歌集を読み進めていくと面白い。時代と作者の内外の環境が密接に絡んでいて、成長とか成熟が手に取るようにわかる。一方、俳句は前述のような句集の読み方をしても、モンタージュのように見える断片から、描かれていない部分の時代と作者の内外の環境を想像していく必要がある。その描かれていない部分が語るからこそ、一句として時代の風雪に耐えうるという面もあると思う。どちらも面白い。