中之条町・旧廣盛酒造で行われている「秋、酒蔵にても4日目。今日は今回のために特設された長いバーカウンターの一角で、「三輪途道と触れる、みんなとつながる上毛かるた」というワークショップを開催した。
上毛かるたの絵札を手彫りで立体化させたみんなとつながる上毛かるた。目が見えない人でも理解できることを一つの目標とし、例えば「草津温泉日本の名湯」であれば、本来の絵札は湯畑の灯篭が描かれているのだが、灯篭を立体にしても触って他の札と違いがわかりにくいということで、湯もみの木板と湯船が彫られているなど、札によっては触ることを優先に三輪さんならではの改変がされている札もある(県の許可はもらっている)。
まずは三輪さんがかるたについて制作の意図などを話し、続いて参加者は目隠しをする。このかるたの普及についてはアイウェアブランドのJINSの地域共生部が多大にバックアップしており、今日もJINSの秋本さんたちがこのかるたを使った神経衰弱などで楽しい時間を作ってくれた。
ワークショップ後半は、僕が考案させてもらった「見えないこと×アキサカ」ならではの企画ということで、「目隠しをした状態で様々な作家が作った酒器を触り、視覚に頼らず手触りだけでその形を楽しみ、一番気に入ったもので酒(運転する人は水)を飲む」ということをやってみた。綿貫哲雄さんの小さな貝殻のような白磁の酒器、三時くんの一枚の鉄板を打って作った酒器、小野口カナメさんの丸みを帯びたガラスにたくさんのぽつぽつがついた小さなグラスなど。手で触り、これは何の材料でできているか、形はどうか、と参加者とコミュニケーションをとった。
参加者にもなってくれた綿貫哲雄さんが、最後、水(北軽井沢の狩宿で汲んできた湧き水を使用)を飲んで「見えないことで、味覚にも集中するね、面白い」と話していて、なるほどと。確かに、ほんとうに美味しいものを食べると、惜しむようによく咀嚼しその時に目をつむることがある。目が見えないことで感じることは、不安や不便だけではなく、良いものもあるのだと思う。