映画『ブルーボーイ事件』は、実際に起きた日本で最初のLGBTが関連する裁判をもとに作られた映画だ。風俗の摘発で検挙された「生まれは男性だけど手術によって女性の体になった人」は裁けないという理由から、手術を行なっていた医者が被疑者として上げられる。劇中のその裁判で問われるのは証言に上がった手術を受けた人々が「性を変えたことで幸せになったのか」ということ。監督である飯塚花笑は自身がトランスジェンダーであることを若い時からカミングアウトしているが、本作の役者においても当事者キャスティングを重視し、主演の中川未悠さんを筆頭に当事者たちが真に迫った演技をしている(現在、Netflixでも視聴できるのでおすすめしたい)。
その飯塚監督の生誕祭なるものが前橋で行われるというので、飯塚監督に呼ばれたこともあり行ってみた(彼とは中之条町観光協会の仕事で「中之条ぽわぽわ」というドラマシリーズを一緒に制作し、年は僕より一回り若いが親しくしている)。
そうしたら、たくさんいるではないか、生誕祭を祝う人たちが。前橋の商店街にスタジオを持ち、市民を対象とした俳優ワークショップも行う彼は、人気者なのだ。ちょうど時を重ねてまえばしシネマハウスで飯塚花笑監督特集上映をしていることもあり、彼の映画に出演した俳優たちも数人、わざわざ前橋に集まっていた。トークの相手は、彼がシネマテークたかさきでアルバイトをしていた時から活躍を見守ってきた高崎映画祭の志尾睦子さん。その光景を見て・・・・なんかすげーなと思ってしまった。僕も周りに人がいてくれる方だと思うが、種類が違う(良い悪いじゃないけど)。
『ブルーボーイ事件』は国外でも上映され、飯塚監督はその立ち会い後にどこかの国だったかで倒れた。かなりやばい一時的な病気だったようだが、今は回復している。その回復時にSNSで「命は有限、僕はもう自分が本当にやりたいことしかやりたくない」的なことを書いていた気がする。日頃優しい人間ではあるが、映画の中には彼の「怒り」が常に充満しており、本音の人間なのだ。そういう強い気持ちが、前橋の夜に人の円を作っていたのだと思う。

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