5580声 弁天通りの明るい影

2026年06月13日

前橋アーケード街といえば、そこから電車で山へ一時間ほどの田舎に住んでいた僕にとっては憧れの場所だった。東京なんて遠いしお金ないし怖くて行けない。だが、前橋なら行ける。

中学生の頃は高崎にもあまりパッとしたものがなくて、たまの休みに電車で前橋に行っては、駅からやや離れた場所にあるアーケード街に行き、特に何を買うということでもないのだけど、大きな本屋に行ったり、何かを買い食いしたり、ぶらぶら歩いたりした。

その後、2000年頃(前後はわからないがかなり長い間)は他の地方都市と同様にアーケード街は明るさを失った。買い物は郊外のショッピングモール。商店の人たちも年をとったのだと思う。僕に限らず前橋に遊びに行くなどという声は聞かないようになり、友人に連れられ飲みに行っても寂しい町という印象があった。

前橋アーケード街が賑わってきたのはいつからなのだろうか。眼鏡ブランドのJINSが古いホテルを豪華なアートホテル「白井屋ホテル」に変えて、おしゃれな建築でパスタ、どらやきなどの店が並び、無印良品も入ってきて、古い建物に居抜きで食べ物屋が入ったりビール醸造所が入ったり、小さな本屋が入ったり、古い建物を壊して新しい建物ができたりしている。

多分、商いはやめてもずっと住居として暮らしていた方達が家を手放すタイミングだったのかもしれない。また、一部が賑わうと、いい意味でそれに乗っかって誰かが商いを始める。郊外でぽつんと店を出すくらいなら、人が歩くようになったアーケード街でやろうと思うんじゃないだろうか。

アーケード街にも北と南があって。前橋中央通り商店街(南)はおしゃれな店が並び常に明るい感じがする。一方の弁天通り(北)は、古い屋根の影響なのか薄暗く、通好みの店が並んでいる。先日、映画監督のトークが行われたのは弁天通りの道端で、近くでは若者から中年までが楽しそうに酒を飲んでいた。明るすぎず、でも暗すぎでもなくなった弁天通りが体に合うのだと思う。