240声 小さなポケットの中入っていたのが大きな価値だったって話 後編

2008年08月27日

昨日の続き。

ココにジーンズが一本ある。
「なんでジーンズ」って眉をしかめた方々、話は続いてるのでご安心。
さて、ジーンズの右ポケットを見ると、ポケットの中に小さいポケットがある。
「えっ無いよ」って人は、リーバイスを買いなさい。
その小さいポケットは、その昔ウォッチポケットと呼ばれていて、
懐中時計入れに重宝していたのである。

やがて20世紀初頭、腕時計の普及によって、
ウォッチポケットはコインポケットと呼ばれる様になり、
文字通りコイン入れに変わって行った。
煙草飲みの人はジッポー入れに、ギター弾きの人はピック入れに使う様になり、
そして現代では、ipodを入れてる人だっているのだ。
「ウォッチポケット」なんて言って懐中時計を入れてた時代から、
携帯音楽プレーヤーを入れる時代まで利用されてきた。
つまり、時代は移ろいファッションが多様化した現代でも、
ジーンズに付いているウォッチポケットは、100年以上も必要とされ残されてきた歴史がある。
時折、「別に無くても良いじゃん」なんて囁かれているあのジーンズの小さいポケットは、
「残す」事の可能性を雄弁に語っているのである。

ジーンズに懐中時計を入れてた人が、まさかこのポケットにipodが入るとは思わなかった様に、
明治時代に商をやっていた家の人が、まさかこの家に「ほのじ」なんて言う、
洒落だか真剣なんだかってなカルチャースクールができるとは、思っても見なかった筈。

人工物が存在する理由は価値である。
価値があるから必要とされる。
価値観が多様化している現代社会の中で、その価値を見出す為には。
どうすりゃえーんか、教えてエラい人。