263声 遠い国の空

2008年09月19日

窓の外は雨。
しっとりとした夜風に乗って、秋虫の声が聞こえてくる夕べ。
ってな具合で、叙情的に更けゆく秋の夜。
ではないのである。
太平洋沿岸を通過する台風の影響で終日雨。
嵐の前の静けさを助長しているかの如く、不気味に静まる夜。

しかし、この台風が行ってしまえば、秋はぐんと深まるだろう。
なんだか、老年期に差し掛かっている御人の書く、随筆原稿の様。
でも、深まるのだから致し方あるまい。

季節の変り目。
殊に、春から夏、夏から秋。
この時期には、寒暖の差が明確に出ず、季節の変り目が曖昧である。
そこに台風が一発ドカンと来て、季節は一気に変わるのだ。
台風一過の青空は、もう次の季節になっている。

嵐の後に姿を見せる、あの深い青空と澄んだ空気。
日本の遥か南から、どっか遠い国の空を連れて来たかの様で好きだ。

この台風が、本州を通過する予定の明日。
また、あの空が見えるだろうか。
そして、秋はいよいよ深まる。