279声 零れ落ちる、瞬間

2008年10月05日

素人も素人。
故に、俳句に関しては、煩わしさを感じる時がある。
しかし、瞬間、の面白みもある。

それが、ルールに基づいて楽しむゲームだと、分っている。
分っていながらも、悩む。
風景や心象を詠む際に、当然、七五調に合わせ、季語を確認する。
そうやって、俳句サイズに削ぎ落とし、条件が満たされ、
やっと一つの作品となる。
その作業が、時に煩わしくなる。
そして、削ぎ落とされた風景や心象が、気にかかってしまうのである。

そんな事を考えつつ、車窓。
ローカル線の、無人駅に停車し、ドアが開きまた閉まる。
乗降客も無く、秋の西陽が射す、無言の駅を通り過ぎる。
線路際に生えているススキが、列車から生じた風に揺れる。
そんな、走り去る風景を眺めていると、ポタッ。
水滴が落ちるかの様に、俳句が零れ落ちる、瞬間。

それを書き留めて、ほんの少し、ほんの少しだけ、微笑む。