295声 根小屋駅

2008年10月21日

夕暮れの、上信電鉄、根小屋駅。
鄙びたローカル線、情感ある駅舎に、薄暗い電燈が灯る。

柄の長い箒で、床を掃いている、駅員のおばちゃん。
待ちくたびれて、隅っこで、口開けて寝てる男子高校生。
「あれ、いっこ前ので、A子ちゃん行っちゃったよ」
「うわっ、そーなん」
顔見知りの女子高生が入ってきて、おばちゃんと雑談。

下りの電車が帰ってきて、降りる人、ひとつかみ。
おばちゃんに切符を渡して、改札の外へ。
「はい、おかえりなさい」
おばちゃんが、一人ひとりに声をかける。

その光景を、足を折りたたんで、置物の様になって、ぼんやり見ている猫。
高校生たちを乗せた電車が、走り去る。
空っぽの待合室。
猫、大儀そうにおしりを上げて、ホームの方へ歩む。