巷はお歳暮の時期。
近年は減ってきていると言うが、この時期の企業に行くと、
各社、お歳暮が山の様に溜まっている。
恐らく、忘年会の景品なんかに回るはずであろう。
そんなお歳暮たちを眺めていて、ふと思う。
「最近、カルピス見なくなったな」と。
企業の経営状況による流通の変化もあるのだろうけれど、
昔(って抽象的だが、大体昭和時分)は良く、お歳暮にカルピスを目にしていた。
それが今は、からっきし。
少なくとも、私の生活圏内では、目にすることが少ない。
カルピスで思い出すのが、私がまだ小学二年生時分の出来事。
同級生の家に遊びに行って、ひとしきり遊んで、時刻は三時頃。
丁度、両親不在の家で、私に気を使ったその友人は、
自ら三時のおやつを出してくれたのだ。
台所へ行って、何やらガチャガチャやっている友人。
お盆に載せて持ってきたのは、コップに入ったカルピス。
「ありがとう」
って、一口飲んで、吹き出した。
「なんだよこれ」
友人を問い質すと同時に、ピンときた私。
「このカルピス、どうやって作った」
と矢継ぎ早に問う。
狼狽しながら友人。
「普通に水で割っただけだよ」
「じゃあ、その割り方言ってみ」
確信を持って、私、最後の一手。
遂に白状する友人。
「えっ、まぁ、良く分かんないけど、カルピス7の水3ぐらい」
「逆だろ!」
って声がこだましたのは言うまでもない。
いつもお母さんが作ってくれていたであろう、カルピス。
その希釈率までは、把握していなかった友人。
私は今でも、カルピスサワーを飲む度に、あの時のカルピスを思い出す。
「初濃いの味」だった。