クリスマスがいよいよ来週に近付き、洋菓子関係者は、
クリスマスケーキ作りに奔走している事だろう。
日本のクリスマスで、子供たちの憧憬を二分するのが、
ケーキとプレゼントだろう。
プレゼントはやはり、玩具である。
よって、今週末辺り、街の玩具屋が賑わいを見せるだろう。
私は、高校生時分、この時期の玩具屋でアルバイトをしていた経験があるので、
雰囲気は分かるのだ。
今を遡る事、約十年前の当時。
クリスマス前の週末ともなれば、開店前の朝から、とーちゃんかーちゃん連中が、
自動ドアの前で白い息を吐いて、待っていた。
私が行って、ドアを開けるや否や、曲った矢の様に店内を疾走。
各々、片手には、おそらく子供からのリクエストなのだろう、
メモ用紙に書いたプレゼントリストを握りしめている。
そして、この時期の平日の客層が、また面白いのである。
平日の夕方ごろ、高校生の私が見ても一目で「水商売」と推察される、
綺麗なお姉さんが来たりする。
中には、どっからどう見ても、浪花節系スナックのママと思しき人もチラホラ。
もちろん、プラモデルやぬいぐるみを買いに来るのではない。
その人たちが、買い物かごに目一杯、大量購入して行く物は、パーティーグッズである。
その時期に見られる、忘年会を控えたサラリーマン。
など、比では無い量の各種パーティーグッズを購入して行くのだ。
クラッカー20個
クリスマスツリー(大)3個
クリスマスツリー飾り一式30個
鼻めがね、かつら、蝶ネクタイ等の小物30個
ダーツ、トランプなどのゲーム類5個
とどめに、お菓子類50個
なんて具合に、花柳界とは言わないが、
酔街のクリスマスに対する、意気込みが伝わってくる。
当時の私は、驚くと共に、一体どんなクリスマスパーティーが夜ごと開かれているのか、
非常に気になった。
この時期の玩具屋には、様々なサンタが訪れる。
とりわけ私は、平日の夕方に訪れる、コロンの香りがするサンタさんの国に行ってみたい。
そんな事を、ぼんやりとレジを打ちながら考えていたのである。