362声 烏のひとこえ

2008年12月27日

よし、今日こそは、自部屋の大掃除。
と、一念発起して、朝から雑巾片手に取り掛かる。

まず目に付いたのは、ギターである。
ろくに手入れもしないから、弦は錆びてるし、ネックは手垢だらけだし、
おまけに全体が埃まみれである。
それじゃあって、一年の敬意を表して、掃除に取り掛かる。

弦を新品に張り替え、ネックを丹念に掃除し、全体を磨き上げる。
見違えるほど綺麗になったギターを、惚れ惚れと眺めていると、
銀色に輝く六本の弦が、「俺を弾け」と、言っている。
様な気がして、しばし、錆びついた腕で新鮮な音を体感。

「はっ」
と、気付いたら正午。
結局、午前中はギターに手を取られて何も片付かなかった。
しかしまぁ、まだ午後がある。

午後に取り掛かったのは、まず、本の整理。
今回の自部屋大掃除における、最大の難局である。
手強い箇所から、片付ける作戦を実行。

床の上に平積みされて、埃まみれになっている本類。
それを雑巾で拭いて、本棚に移す。
どんどん移す。
一度入れたら、奥の本がもう取り出せない。
と思いつつも、どんどん移す。
あれ、この本、さっき文庫本で同じのがあったな。
と思いつつも、どんどん移す。
ところで、本棚に入っている、夥しい数の空ビール瓶は最終的に、どうしよう。
と思いつつも、どんどん移す。

「疲れた」
と、まだ読んでない本でも読みつつ、少し休憩。
これが、いけなかった。
胡坐を書いて読んでたのが、いつの間にか、寝ころんで読む。
そして、終りまで一気に読破。

「よし、やるか」
って、本を閉じたら、射し込む西日に染まった、橙色の部屋。
おまけに、やけに肌寒くなってきた。
遠くで聞こえる烏の声。
一目散に失せて行く、ヤル気。
積まれた本の上に、まだ大分、綺麗な雑巾。