387声 ノリにのった観光客 後編

2009年01月21日

新しいアメリカ大統領が本日就任。
そして、昨日の続き。

「あれっ」と思った。
着物娘と礼服のお母さんのいる周囲に、時折閃光。
断続的に、ピカピカ光っているではないか。
何かと思い、ひょいと背伸びして、昼時の混雑する雑踏を見下ろす。
すると、アジア系の外国人観光客の方々なのだろう、周りを取り囲んで、激写。
パパラッチさながら、フラッシュの嵐なのである。

浴びせられる閃光の中に、明らかに困惑が浮かんだ、晴れの日の母子の顔。
周囲の人々は、事なかれ主義を重んじ、曖昧な表情で過ぎ行く。
かく言う私も、団子にかじり付きながら、遠巻きから傍観。

TVニュースに映っていた、築地市場の場長に注意される外国人観光客と、
浅草で我武者羅にフラッシュをたいていた、この外国人観光客。
両方に共通していたのは、修学旅行の中二男子学生さながらの、ノリ。
それはまさに、ワルノリ。

ワルノリと言えば、このサイトでも掲載している、
隔月県内吟行の「ワルノリ俳句ing」。
もちろん、正しく(かどうかは怪しいが)俳句を詠みつつ、
「ワルノリ俳句」も詠んで行く。
自分の、あるいは、他者のワルノリ感を、五・七・五で表現すると言う、
逆説的な俳句への取り組み(かどうかも、またもや怪しいが)。
そして、ワルノリの無常感を肴に、赤提灯で一献傾けるのである。

そこで、ワルノリしがちな外国人観光客の方々にも、
ワルノリ俳句を普及させ、俳句を詠む事よって、
ワルノリの無常感及び寂寥感を味わって頂く。
そうすれば、観光地でのワルノリも減少するのではないか。

しばし書手を止めて、想像。
赤提灯のカウンターで、隣に居合わせた外国人観光客数名。
皆一様に押し黙って、ワルノリの無常感を肴に、一献傾けていたとしたら。
思わず私の方が、フラッシュをたいてしまうだろうな。