まだ寒さ残る朝、夏葉社の「冬の本」を開いた。
「冬」と「本」をキーワードに、様々な文筆家等による
それぞれ1000字ほどのショートエッセイをまとめた本だ。
その中で山崎ナオコーラさんが挙げていたのが、
トーベヤンソンの「ムーミン谷の冬」であった。
それは彼女が幼いころ、冬眠にあこがれていた、
というくだりで始まる。
「ムーミン谷の冬」は僕もとても好きで、
家族より先に目覚めてしまったムーミンが生まれて初めて
雪の降り積もった世界を旅する様子が面白い。
見慣れた谷の姿はなく、いつもと違う生きものたちが
粛々と暮らしている。まるで別世界のように。
「ムーミン谷の冬」を読んだのは中学生だったか。
自意識過剰で、人と会いたくない、ずっと寝ていたい
とも思っていたが、好奇心旺盛なムーミンにつられ、
共にあの谷を歩いて岬まで行き着いたことを覚えている。
つまりは、本はいい。そういうこと。

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