483声 新緑の渓谷

2009年04月27日

今日は、都市で生活している人に向けて書こうかと思う。
普段はあまりこう言った文体(です・ます調)、では書かないのだけれど、
偶には気分を変えて。

都市で生活していると、季節の足音に気付かずに日日を送っている人も多い筈です。
私たちが、一年365日の道程を走っているならば、季節も共に走っています。
季節の方が先にゴールしたり、遅れたりと言う事は無く、常に私たちと並走しています。
それに気付くのは、都市では無く、矢張り自然の中にいる時です。

私は今日、群馬県の最西毛地域である上野村へ出掛けました。
高崎市から安中市を通って富岡市へ抜け、下仁田町を南牧村へ進むと、
漸く上野村です。
車で片道、所要1時間半程掛りました。
湯の沢トンネルが開通してからは、随分と交通の便が良くなり、
東京から下仁田ICを利用して、多くの日帰り観光客が訪れています。

小春日和ですが、日差しの注いでいない場所へ行くと、まだ寒く感じます。
季節の移りきらない、四月末の気候は、ひんやりと爽やかです。
上野村へ入ると、折り重なる雄大な山並の中に在る事を実感します。
山肌には新緑が活き活きと茂り、濃い緑薄い緑が不規則に混ざり合っています。
その思わず息を飲んでしまう自然美は、私の言葉足らずの描写より、
読者の豊かな想像力に任せる方が賢明かと思います。

折り重なる山の間には、細く滔々と流れる清流があります。
河原には日光が満ち、水面に乱反射する光が眩しく感じます。
時折吹く風が、渓谷の新緑の梢を揺らし、溢れる光を撫でさせていました。
私は橋の上に足を止め、その山景を見下ろしていました。
欄干に肘を付いて眺めていると、雀が2.3羽舞い集まって、
欄干の上へ気まぐれに止まりました。
一台の車が猛スピードで橋に差し掛かると、雀たちは舞い散って、
眩しい光の中に消えて行きました。