昨日の続き
愛想の良い、快活なおばちゃんに食券番号を呼ばれ、取りに行く。
厨房から出てきたカレーは、洗面器大の皿に御飯をよそう、と言うより、
盛り固める、と著した方が適切な様相。
その上には、これでもかと、ルーが溢れて垂れ落ちんばかりにかけてあり、
もう、何だかやけくその意気込みを感じる。
途端に、先程までの食欲、気概は雲散霧消し、夕方の入道雲の如く、不安が湧いてくる。
兎も角、逃げる様にお盆を持って、カウンター席へ移動する。
「全部食えるのかい」
と書いた短冊が、擦れ違う人たちの目尻にぶら下がっている。
自問自答、それはこっちのセリフである。
節目がちにその場を通り過ぎ、カウンターテーブルの一等隅に座り、
完全に舞い上がりつつ、カレーライスの山を急いで崩して行く。
味わう余裕も無いと言う、お粗末。
もうこうなりゃ、こっちもやけくそである。
一心不乱にスプーンを往復させ、その佇まいたるや、
ゼンマイ仕掛けの人形と見紛うばかり。
最後の一口を口へ運び、かろうじて食べ切ったのだが、気力体力、共に摩耗して虚脱。
おまけに、私一人が水を被ったかの如く汗だく。
カウンターテーブルを見渡せば、先程、嘲笑の薄笑みを浮かべつつ、
私に一瞥をくれた、サラリーマン諸氏が、一人も居ない。
どうやら、戦いが長引きすぎた様である。
勝敗も見ずに去るとは、浅はか、笑止千万。
胃袋が膨らんだついでに、被害妄想も大いに膨らませつつ、食堂から辞す。
不細工に膨らんでいるであろう、自らの胃袋の重みを感じつつ、駐車場の車へ戻る。
結局、行きも帰りも足どりは重い。
結果、軽くなったのは財布だけであった。

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