562声 絆創膏レシート 後編

2009年07月15日

一昨日の続き。
直ぐに思い当たった。
飲み屋のレシートである。
それも、キャッシュレジスターから発行された売上明細書では無く、
スナックバーなどで見る、絆創膏サイズの紙に、手書きで金額が記載されたレシート。
そう言えば、コンビニなどで貰うレシートは、レジ横の回収箱に入れてくるのだが、
あの絆創膏レシートは、金額を確認すると、ぐしゃっと丸めて、ポケットに捩じ込む。
だから、店を出た後も、忘れてポケットの中で丸まっている事が、度々ある。
思い返せば、あれも面白い光景である。
会計を頼むと、店のママが絆創膏レシートを出す。
カウンターの男は、そのレシートに書かれている金額を「チラッ」と見る。
ここは皆、必ずチラ見である。
眉間に皺寄せ、まじまじと見る人は見掛けない。
そして内心の、「あれ、結構いくなぁ、何がそんなにどうして…」、
などと煮え切らない気持ちは露も見せず、
澄まし顔で、二、三、静に小さく頷き、素直に財布から札を引っ張り出す。
会計を済ませ、思ったよりふら付く足取りを悟られない様に、そそくさと店を出る。
少し歩いて電信柱の薄明かりの下、ポケットからまたレシートを出し、まじまじと眺める。
また、ぐしゃっと丸めて、ポケットに捩じ込み、歩道の小石を蹴りながら帰る。
洗濯を終えたジーンズ。
どうやら、絆創膏レシートが何枚も入ってた様で、未だ、紙屑まみれである。