本八幡駅北口の飲み屋街の中に、一軒の大衆食堂がある。
紺暖簾の奥には昭和の匂いが濃く、メニューが壁に貼ってあるような、
と言えば大方の雰囲気は伝わるであろう。
夕方の客層は、出勤前の水商売の淑女や、
仕事を終えた背広の親父さんなどが多い。
私も、定食と瓶麦酒で夕食にしたり、冷奴で軽く飲んで帰ったりと、
この方面に足が向いたときにはよく利用している。
行き始めたばかりのことだったが、
耳慣れない符丁のような言葉が気になっていた。
それは、お客が店員氏に「あれ、キンチョーは」や、
お客が隣のテーブルのお客へ「ちと、キンチョー借ります」など。
しかし、どう見てもソースの容器を手にとっているので、
こちらではソースのことをキンチョーと呼ぶのかしら。
蚊取り線香の「金鳥」が調味料を販売するわけはないし。
と言うのはいささか大げさに書きすぎだが、
瓶麦酒を注ぎながら、それに近いことを考えていた。
いささか長くなりすぎてしまったため、後編は明日に。

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