3719声 六合ドキュ前編

2016年03月19日

「六合ドキュメンタリー映画祭」初日は、六合入山の「よってがねぇ館」で行われた。当日僕が会場入りすると、調理室には地元のお母さんたちにお願いしてあった「六合かりんとう」が山のように置かれていた。映画を観ながら六合かりんとうを食べてもらう、そんな事も面白さのひとつではないかと思ったのだ。

 

100人も入れば満員に近い会場がほぼ満員となった。見知らぬ場所の見知らぬ俳優が出ている映画ではない。ごく身近にいる(そのほとんどが知り合いの)六合の人々が主人公となったドキュメンタリー作品を見に来たお客さんだもの、登場人物の一言一言に笑い、共感し、懐かしみ、感動してくださったようだ。

 

中之条町との合併後、僕が六合を訪れる機会が増えたころに、前橋の煥乎堂で30年以上前に出版された六合の風土について書かれた雑誌を買った。村の女衆が、農具や草履の材料となる菅などの植物をとりに野反池までの山道を行く話。今なお残るおんべえやという村祭りで、燃えた木々の炭を手にとって人の顔に塗りつける風習など、絵に描いたような「山村の暮らし」が僕が育った町から山ひとつ越えた近所で繰り返されていたことに、ちょっとしためまいを覚えた。

 

今回の映画祭では、それらの暮らしがまさに生きた声として語られる。炭焼きが収入源だった当時は女でも30キロの荷を担いだとか、自分の祖父は農機具もないままに田代原の開墾から始めたとか。日本むかし話しのような牧歌的なものではなく、その言葉には血が滲むような苦労が含まれており、けれどそんな暮らしをしてきたという強さ、自信を持っているようでもあった。

 

上映が終わり、ドキュメンタリーを制作した日本映画大学の学生たち10数人が横並びになり、挨拶をした。学校外の人に作品を見せるのは初めての学生ばかりだ。どっぷり六合という会場の雰囲気が後押しし、皆とても熱い言葉を発していた。この経験は、彼らの今後に大きな影響を与えることだろう。

 

明日は六合地区を離れ、中之条町「花の駅 美野原」での上映となる。六合でできた作品を六合で観てもらう必要性は高いが、六合以外で観てもらう必要性も非常に高い。多くの人に来てもらえたら良いな。